ただ見上げるより この手を伸ばしてみたくなるだけ (ポコアポコ/カヒーナムジカ)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

 私が主催しているサークル「POLAR BLUE」は、新しくTRPGのGMに挑戦する方に、ペアGMという選択肢を提案しています。
 初心者GMが一人でGMに挑戦するのではなく、GM経験者がサブマスターとしてサポートに入るやり方です。
 ペアGMの詳しい様子については、「今宵あなたとシナリオメイク」と言う動画リプレイで描いています。
 「サブマスターって何やるの?」とか「どんな風に進めて行くの?」とか、色々と疑問点がある方は、そちらをご覧下さると助かります。
 「ふたりGMの進め方」というページもありますので、そちらも参考にして下さい。


 ですが、このペアGMについて、主にGM経験者の方から、懐疑的なご意見を頂く事があります。
 例えば、GMの始め方は「良いプレイヤーは支援してくれれば、それで十分」とか、「シナリオ集があればGMできる。ペアGMは不要」といったご意見です。
 ただ、考えてみて欲しいのですが、例えばシナリオ集があればそれで全員GMできるなら、世の中の大半のテーブルトーカーがGMやっていて不思議じゃない訳です。
 でも現実には、GMやらない人の方が多いのですよね。
 「GMが大変だから」という理由を挙げる方もいますけれども、シナリオ集を使ったGMが、そんなに大変ですかね?
 本当は、何か違う理由が(も)あるのではないですかね?
 
 
 私が初めてTRPGをやったサークル、もう20年近く続いているサークルですが、そこでは全員GMができるんです。
 前身が同人小説を作るサークルだったせいもあるのですが、とにかく私は、テーブルトーカー全員がGMできるものだと、ずっと思ってました(笑)。
 ところが、進学などで外のサークルに参加してみると、全然そんなことない。GMが二人いれば御の字で、下手したら私しかGMしなかったりすることさえあったんですね。
 私はシナリオ作るのが好きですし、自力でGMできたタイプの人なので、まあ普段は一人でGMしていても構わないのですが、情熱にはやっぱり波があります。
 自分がGMやるのが辛いな、って思った時に、一時的にでも他の人が繋いでくれるとありがたい訳です。
 そこで他の人にGMやってもらうとお願いし始めて、初めて気がつくんですよ。
 「自分がGMできた方法で、他の人がGM始められるとは限らない」

 この単純な事実が、なかなか受け入れることができないものです。
 ちなみに私が最初にGMやった時は、オリジナルワールドを作り、システムは既存システムをカスタマイズしたものでした。
 昔は当然のように、みんなそのぐらいの事はできるものだと思っていた訳です。

 流石にしばらくすると、「どうやらおかしいのは自分の方みたいだ」と気がつきました。
 そこで、ハードルを下げることにした訳です。
 システムも世界も既存のもので良いですよ。
 シナリオだってシナリオ集だっていいですよ。
 その条件ならGMできるでしょ? オリジナルワールド作った私からしたら、物凄いハードル低いですよ。

 …ですが、GMしてもえらなかったのです。
 もちろん、GMに興味がない人もいます。結構います。
 でも、「GMやれるならやってみたい」という憧れを持っている人はいるのです。
 そういう人でも、GMしてくれない。
 こんなにハードル低いのに、なんでGMできないの?
 全く意味が分かりません。



 その答えが分かるまでには、5年ぐらい時間がかかりました。
 分かってみたら、凄く簡単なことでした。
 人によって、GMを始めるために適している方法論が違うんです。

 シナリオ集があればGMできるのか? 違うんです。
 確かにシナリオ集でGMデビューできる人はいます。
 いますけど、全員じゃない。

 例えば実際にこんな人がいました。「シナリオ集は読んだけど、それでセッションが盛り上がるという確信が持てない」
 確信。
 「セッションが盛り上がらなかったらどうしよう」
 怖いんですよ。不安なんですよ。自信なんか持てない人がいるんですよ。
 こういう人たちは、良心的なプレイヤーの支援があったとしても、そもそも卓につくことができない。
 卓につく、その前の時点で、つまづいてしまうからです。

 「習うより慣れろ、失敗しても良いからとにかくやれ」って言う人も多くいます。
 全くその通りだと思うのですが、はいそうですか、と始められる人ばっかりじゃない。失敗が怖くない人なんてむしろ少ない。

 だから、セッションが始まる以前に、
 「このシナリオで、セッションはこういう風に盛り上がるから、大丈夫だよ」と言ってくれる人だったり。
 シナリオ集に足りない部分があったら、そこをフォローしてくれたり。
 セッション中に予想外の展開になった時に助言をしてくれたり。
 そういう存在がいると、大きく違うのです。

 それは、たまたま読んだシナリオ集が良くなかったのかも知れません。
 でもね、シナリオ集の良し悪しに話を矮小化するのは止めましょうよ。
 別に良いじゃないですか。
 誰か他の人が相談にのって、手伝ってあげることで、その不安を取り除いてあげても。
 今までとはちょっと違った始め方があったって、いいじゃないですか。

 そしてGMを始めることについて、世の中に存在する手法が、実はそんなに多くない。
 だから、方法論が合わない人がいっぱいいて、GM始められない人が多いんだと思うんです。
 ペアGMは、従来の手法がいまひとつしっくり行っていなかった人たちに向けた、一つの選択肢なんです。


 とは言うものの、私はこの方法が全テーブルトーカーに合っているなどとは全く思ってなくて、せいぜい1割、多くても2割程度だと思っています。
 でも、現在のアクティブGM率が、20%ぐらいかなと推測しているので。もしテーブルトーカーのうち20%が新たにGMできるようになったら、GM人口2倍ですよ?
 ね?


 逆に、自力でGMできる人にとって、ペアGMってうざいだけでメリットが感じられない場合も多いんです。
 自分がそうだったから良く分かります。
 そりゃそうですよ。自分一人の力でGMできるんですから。なんで今更人の助けなど欲しいと思うでしょうか。自分の思い通りにシナリオが作れないのなんて、まどろこしくってしょうがない。
 自力でGMできる人にとって、そう感じるのは無理のないものです。
 そういう人にとっては、ペアGMの方が「方法論が合っていない」のです。

 別にいいんです。方法論が合わない事を無理してやる必要はありません。
 ただ、あなたがペアGMと合わないのなら、同じようにあなたが合う方法と、合わない人もいる。
 そのことだけご理解頂けると嬉しいですね。



 TRPGって、セッション中はみんなでわいわい騒ぎながら盛り上がるゲームじゃないですか。
 でもその楽しさって、一人でGMの準備をしている時にはない訳です。
 そういう楽しみ方が、セッションの準備の時からできたって良いと思うんですよね。
 特に女性に多い印象がありますが、一人で何かするよりも、複数人でやる方が好きって人もいる訳で。
 そういう人にとって、ペアGMという選択肢が取れるようになることで、今までGMできなった人でもGMできるようになるんじゃないのかな、と思っているんです。



 ところで、「今宵あなたと」ではペアシナリオメイクしましたけれども、本当はシナリオを作らなくても構わないんですよね。
 ペアGMでシナリオ集を使ってもいいんです。
 「今宵あなたと」でシナリオを作ったのは、スイレンさん自身がシナリオを作ってみたかった、と言うのが大きいですね。
 作りたいなら作れば良いと思いますが、そんなにシナリオを作りたい訳でなければ、シナリオ集を使った方がよりGMデビューしやすくして良いでしょうね。
 この場合、経験者GMの役割は、(前述した通り)初心者GMの感じている不安や自信のない部分をサポートしたり、サークルや卓とシナリオが合わない部分を修正する方法を提案したり、という事になるでしょう。


 ペアGMでリードする経験者は、実はそんなに大層なことをしなくていいんです。
 相手の話をちゃんと聞いてあげて、あとはそこにいれば最低限大丈夫なんです。
 もちろんできるなら、相手の良いところを発見して、褒めて自信を持たせてあげられれば、言うことないですけどね。
 でも、それが絶対必須の条件って訳じゃないんです。
 相手を否定しないことだけ気をつけて頂ければ、それだけで役割を果たせたりするもんなんです。


 ペアGMで、今までGMデビューできなかった人でも、「楽しく」GMに挑戦できるようなったら、嬉しいですね!


追記を閉じる▲
スポンサーサイト

【2013/09/08 12:17】 | トークRPG実験箱
トラックバック(1) |
 久しぶりにネガティブな記事を書きます。
 この記事の内容を、以前何人かの人に話したことがありますが、聞いた人がしばらくGMできなくなる等の症状が確認されています。
 幸せにGMしたい人、まだGMに挑戦したことのない人は、今すぐブラウザを閉じ、ここから先は読まないことを推奨します。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 あなたがGMをしたとして、セッションが終わった時プレイヤーに、
 「面白いセッションだったよ」
 と言われたら要注意です。
 人は、本当に面白かった時に、「面白かった」などと冷静かつ総括的なセリフを言いません。
 「面白かった」と言われたら、それは大して面白くなかったセッションなのです。
 本当に面白いセッションだったら、プレイヤー達は「面白い」などと言う前に、「あそこのシーンでああしていたら…」「あのNPCが…」「あのタイミングであんな目だすか」などと、セッションの内容について熱っぽく延々語り続けます。
 そうやって語り続け、2時間だか経って初めて、「ああ、今日は面白いセッションだったね」とまとめに入る。
 これが、本当に面白かったセッションの後に起こる現象です。

 プレイヤーが「面白かった」と言うまでに、セッションについて語る時間。
 この時間が、セッションが「どのくらい面白かったか」を計る定量的な指標でしょう。

 あなたがGMをしたセッションでは、どうでしょうか?
 あ、「セッション後にプレイヤーがゆっくりだべる時間がない」とかいう言い訳には興味ありません。
 まあ、本当に面白いセッションだったとしても、それはプレイヤーが盛り上げてくれただけで、あなたのシナリオやマスタリングが良かった訳では、ないかも知れませんけどね。
 


追記を閉じる▲

【2011/04/10 02:06】 | トークRPG実験箱
トラックバック(0) |
 昨日twitterで、一見するとかなり地味で、その実けっこうとんでもない話が出てきまして。
 それが、「電子書籍とオンセログとヴィジュアルリプレイのxml標準化」。

 …分からない人が多いと思うので解説しますと。
 電子書籍には色々な種類があるのですが、世界的に有名な方式に「ePub」というものがあります。
 このePubはxmlという文章の書き方に準拠しています。
 で、xmlというのは、電子書籍に留まらず、ウェブ上でのデーターのやりとりだとか、サイトの新着通知だとか、かなり広範囲に使われている書式でして、応用性が高いんですね。
 ただ、使用する側が自由に拡張できるので、便利な反面、違う思想に基づいて書かれたxml同士は互換性がなくなってしまうことがあります。
 そこを誰かが音頭を取って、TRPG業界内で一つのルールにまとめたら…

 オンセのログが電子書籍になったり、電子書籍用のデーターからヴィジュアルリプレイが簡単に作れたりしちゃうんじゃないの!?

 という話になった訳です。
 
 
 もちろん、誰が音頭を取るか、誰の方式を標準とするか、で競争が出てくる可能性もあります。
 丁度、ビデオの方式でベータとVHSが争ったような感じですね。

 その標準化戦争に参戦するかどうかはともかくとして…
 ただ、現在作成中のヴィジュアルリプレイのxml書式を、ePubなどのそれに近い形にしておく価値ってあるのかも…という気がしてきました。
 今、CDATA使って、Flashが対応しているhtmlタグを埋め込めるようになっているのですが…多分、CDATAなしでタグ解釈できるようにした方がいいんでしょうねぇ。
 ちょっとその辺、きちんと検討してみます。

 で、そのうちヴィジュアルリプレイのxmlの仕様を公開し、かつ意見募集などしてみるべきかと。
 …まあ、私の作品がデフォクトスタンダードになるって事はないとは思うのですが。でも、先に存在するものなら利用する人が出てくるかも知れないですし(笑)。なら、なるべく多くの人にとって便利な形にしておくのが良いかなぁ…とか考えています。
 


追記を閉じる▲

【2011/03/24 23:50】 | トークRPG実験箱
トラックバック(0) |
 おや、同じこと思う人がいるものですね。

 あまおち総統エッセイ 第5話『同人リプレイ解禁を』

 全く同じ経緯で、私もJGCのサークルコーナーへの参加を断念した経験があります。
 2004年でしたか、最初のヴィジュアルリプレイを作った頃の話です。
 オリジナルシステムか汎用コンテンツか、あるいは著作者の許諾を得てルールブックを販売しているか。そういうサークルしか、JGCのサークルコーナーには参加できないのです。
 そして私も同じように、「同人リプレイが、ルールブック売り上げに貢献できるはず」と考えていたので、悔しい思いをしたものです。


 まあTRPG同人誌の歴史を辿れば、出版社側が不信感を抱くような出来事も色々とあったもので。
 クラシックD&Dの時代、ルールブックのコピーをコミケで頒布する輩がいたとか。
 海外システムの私家翻訳本も、裁判沙汰になりかけていたと聞きますし。
 また、主にウェブでの同人リプレイで、市販シナリオのリプレイがあります(ただしこれについては、異なる動きも出てきています。長くなるので詳細は後日。書ければ)。

 そういった負の側面を考えても尚、私は「同人リプレイがTRPGゲーマーを盛り上げているはずだ」と信じています。
 例えば、私が過去作って来た同人リプレイに対して、「ガープスやりたくなった」「アリアンロッドちょっとやってみようかなぁ」といった、「プレイ意欲が刺激されました」という感想は良くもらうのです。
 遊ばれれば、ルールやサプリ、リプレイなど関連アイテムの売上に繋がって行くと考えられます。
 「我々は、メーカーや出版社の味方になれるはず」
 と考えている訳です。


 ただ、口では何とでも言える訳で。
 かつて受けた「証拠がなきゃ信用されませんよ」と言う指摘は、実にもっともです。

 証拠。
 つまり、「同人リプレイがきっかけで、これだけの人がルールブックを買いましたよ」というデーターです。
 同人リプレイがルールブックの売上に貢献している、と言う実績が示せれば、出版社に許容してもらえるかも知れません。
 
 もちろん、「その実績をどう証明するんだ?」という問題点があります。
 紙媒体の同人リプレイでは、その証明はなかなか難しいですね。

 でも、ウェブで公開されているリプレイなら方法がありますね?
 
 
 そう、皆さんが大っ嫌いな「アフィリエイト」です。
 アフィリエイトは、そのリンク経由で販売された部数を他者が記録してくれます。振り込み履歴は、銀行という第3者による証拠になります。
 手順はひどく簡単です。
 アマゾンなんかのアフィリエイトを、ウェブ同人リプレイのあとがき辺りに導入するだけです。
 「このリプレイは、新紀元社から発売されているシノビガミというゲームを遊んだ記録です。あなたもルールブックを買って、遊んでみませんか?」
 てな按配です。


 …ま、ほとんど売れなかったんですけどね(苦笑)。


 私のサークル一つで実績を叩き出す必要はないのですが、1サークル20冊ぐらいは売らないと、同人リプレイ全体の実績として主張するのは難しいでしょうねぇ。
 というのは、仮にアリアンロッドのリプレイサイトが50ぐらいあるとして、平均20冊で1000部。
 アリアンロッドの初版が1万部で、増刷1回で+2千部だとすると、10刷で3万2千部ぐらい。3%弱になります。
 ルールブックの売上部数の3%が同人リプレイ経由だったら、多少の存在感はあるだろうと、思ったのです。
 まあ、ルールブックの発行部数は公開されていないですし、リプレイサイトの数も適当なので、信頼性はほとんどない計算ですが。
 ただ目標設定というのは必要ですから。


 ちょっと惜しかったのが、うちのヴィジュアルリプレイをきっかけの一つとして、アリアンロッドを(というかTRPGを)はじめた人・興味を持った人が「いた」と言うことです。
 少人数ですけれども、確かにいました(コミケでそう話して下さった方もいましたし、掲示板にそういう事を書いていた方もいました)。
 ただ、うち「だけ」ではなかったのです。
 いくつかのリプレイサイトを回って、複数のリプレイを読んだ上で、TRPGの世界に入って行った。
 となると、ルールブックは書店で買ったかも知れませんし、アフィリエイトなしでアマゾンで買ったかも知れないのですね(TRPGを始めるきっかけの一つが私の作品だった人数より、アフィリエイトの売上部数は下でした・笑)。


 というわけで、私が2年前に目論んだ実績証明は、全然上手く行かなかったのです。

 ただ、ニコ動のアイマスリプレイで、ほぼ同じ形ができています。「ニコニコ市場」ってやつです。
 2010年10月30日現在、ニコ動全体でアリアンロッドのルールブックの販売数は27部。ソードワールド2.0は215部です。
 複数作者合同の値ですので、アリアンの27部は実績としてちょっと寂しい数字です。しかし、SW2.0の215部は大したものです。
 
 私が失敗したのが、(マイナーな)一つのサークルだけでの試行であったから、という可能性はありそうです。
 前述したように、読者側も複数サークルの同人リプレイを読んだ上で、ルールブックを購入しているようです。
 と言うことは、数十の同人リプレイサークルがアフィリエイトを導入し、かつその成果を公表したら。
 案外、いけるかも…?
 保証はありませんが、どうせタダで挑戦できるのですから、やってみるのも良いかも知れませんよ?
 

 追記:「アフィリエイトは金儲けだ」というイメージが世の中に蔓延しています。ですが、TRPGルールブックでアフィリエイトやったって、全然儲かりません。収入は3%程度です。700円の3%が20冊売れたって、420円ですよ(笑)。
 


追記を閉じる▲

【2010/10/31 19:48】 | トークRPG実験箱
トラックバック(0) |
 ペアGMセッション、やってきました!
 メインマスターにスイレンさん、サブマスターが私。
 システムはアリアンロッドで、プレイヤーは4人でした。

 プレイヤーに送ったメールとかtwitterとかには、

 「サディストの」スイレン&「皆殺しの」丹川。
 ダブルGMで、セッションは2倍、悲惨になる!

 みたいな煽りを書いてました(笑)。

 しかし、それを上回り、カバーリング担当のモンクが3回戦闘不能になるという凄まじさ(笑)。
 「2倍じゃなくて3倍だったね」ともっぱらの評判でした。
 でも、
 「二人分くらって戦闘不能になってもらって、無傷の手数を残した方が有利」とか言って、前線戦士をカバーリングをさせたのはプレイヤーの方ですからね?(笑)
 
 
 二人でシナリオを作ることを、ペアシナリオメイキングと言います。
 2004年頃だったでしょうか、氷川TRPG研究室の氷川さんを中心に、実験的な企画として、オンラインでペアシナリオメイキングを試みた記事がありました(2010年9月27日現在、当該記事はアクセスできなくなっています)。
 呼称はその時、二人でプログラムを組む「ペアプログラミング」から取られて命名されたようです。
 ただこの企画の後に、実はオフラインで既に実践している人がいたことが明らかになりました。
 それとは別に、私が以前所属していたサークルでも、ある夫婦がペアシナリオメイキングに似たことを自然発生的に行っていました。
 またソロシナリオメイクであるものの、サブGMを立てるセッション(のリプレイ)もいくつかありました。
 今回のペアGM企画は、この辺りの先行事例を踏まえつつ立案しました。
 (D&D4thの、卓でするシナリオ作りは、企画が進んでから知りました)


 今回、以下の点を重視しました。
 ・セッションには二人とも参加する(ペアシナリオメイクだけでなく、ペアGMをする)
 ・最終決定者を明示しておく
 ・文字でなく会話でシナリオ作りを進める

 ペアでシナリオを作る場合、片方がアドバイザーに留まり、実際のセッションに参加しないケースがあるようです。
 しかし、それでは一緒にシナリオを作っていてつまらないだろうと思うのです。
 シナリオ作成の果実が実際のセッションであり、私なんかにすると、セッション中のプレイヤーの悲喜こもごもの表情を見るために、シナリオを作るのです。
 何もやることがなくても、セッション卓にいた方が良いと思うのです。できればやることを作って、何かやれると素晴らしいでしょう。
 ペアシナリオメイクの一つの想定利用例(かつ先行事例)に、夫婦やカップルでのペアシナリオメイクがありますので、最初から最後まで「GMの共同作業化」を図るべきだと考えていました。
 パーティにNPCが同行する先行事例がいくつかありましたので、片方がNPCを受け持ち、PC達を誘導したり、引っ掻き回したり、ラスボスになったりする形がまず考えられました。
 ただ、私は昔から「お地蔵さんGM(プレイヤーに好き勝手やらせて、それを見ているGM)」をやる性向があるので、今回は特にNPCを受け持ちませんでした。戦闘では敵を何体か動かしましたが、基本はスイさんがずっと進行させて、補足説明したり茶々入れたり、プレイヤーに突っ込みいれたりしてました。
 性格によりますが、そういう在り方もOKかと思います。
 

 二人の人間が共同作業をするのですから、当然、意見がかみ合わない部分が出てくることが予想されました。
 シナリオ作成に十分な時間が取れるとも限りません。特に時間切れ対策として、GMを「メイン」と「サブ」に分け、意見が合わなかった場合、最終的にはメインGMが決定権を持つようにしました。
 これはセッション中にアドリブが必要になった場面などにも有効でした。
 まあ、おかげで結構却下された意見もありましたが(笑)。却下される事を受け入れられない人同士では、ペアシナリオメイクは難しいのではないかと思います。
 アイディアを深く掘り下げる前、まだ生まれて間もないぐらいで話し合いの俎上に乗せた方が、却下されても気にならないので良いかも知れません(笑)。深める作業は、その後、二人でして行けば良いのです。


 実際のシナリオ作成では、文字でなく会話を重視しました。
 実際に顔を合わせてシナリオを作ったのは2回で、あとは日程が合わなかったのでSkypeでの作業になりました。
 これは個人的な経験ですが、文字だけのやり取りで同人作品を作ると、だんだん煮詰まって来ることが多いのです。
 製作期間の長い同人作品の場合、間にスクリプト合宿とか、絵師合宿とかを挟み、顔を合わせて共同作業する時間を作るようにしています。
 その方が楽しんで作業できるようなのです。
 ペアシナリオメイクも同様ではないかと考えていました。
 また、「オフセッションの雰囲気をシナリオ作りに移植できないか?」というテーマもありました。その点からも、オフセッション同様、会話主体(できれば顔合わせた方がいいですが)でシナリオを作るべきだと思っていました。
 実際にやってみた感じ、やはり会話中心で進めて良かったと思います。手詰まり感などを感じることが少なかったですし、なんだか賑やかな感じがしましたしね(笑)。ざっくばらんな雑談も大事ですよ、ええ。


 ペアGMを遊んでみた率直な感想は、
 「意外とこれが面白い」

 自分で企画しといて「意外」も何もないものですが(笑)。
 普段の自分では出てこないようなアイディアが出てきたり、見落としていた点に気がついたり。
 波が大きい私が関わった割には、随分安定したシナリオができたことに驚いたり。
 二人の共同作業が楽しい、というのももちろんあります。
 でも一番大きかったのは、シナリオを作る前に感じる、心理的な負担感が随分軽減されることですね。
 そこまで構えずに済むのです。
 シナリオ作りの敷居が自然に下がるような感じがしました。

 尚、ペアGMの詳細は、PolarBlueの正式コンテンツとして発表することにしていますので、まあ、気長にお待ち下さい(笑)。
 今回は、GM初心者と組みましたが、これベテラン同士が組んでもかなり面白くなる予感がします。
 あと、TRPG向きじゃない発想をする人と組んだ時に、何が出来上がってくるのかも楽しそうですよ。
 


追記を閉じる▲

【2010/09/27 01:43】 | トークRPG実験箱
トラックバック(0) |
 2ヶ月ぶりぐらいに、中学以来の友人とやっているTRPGサークルに顔を出して来ました。
 が、その時、言われたセリフにびっくり。

 「最近世の中(のD&D)は、シーフなしでダンジョン遊ぶ流れが出てきているみたいだしね」

 まあ、客観的にどこまでそういう流れになっているのか分かりませんが…
 いいですね! シーフレス・ダンジョン!

 シーフ要らないと言い続けてもう3年ぐらい経ちますが、まさか本当に、うちのサークル以外に、そういう遊び方をしている人が出てきている? 事実だとするとエライことですよ。
 もうD&Dは4thでクレリック・レスを実現しているらしいので。
 ついにダンジョンもPC1人で攻略する時代が来るのでしょうか?
 (いや、ほんとはとっくの昔に、PC一人で遊べるようになっているんですけどね。「それだって正道なんだ!」って認識を、なかなかしてもらえないだけで)

 すでにFEARによって、シティ・アドベンチャーの最低PC数は、1人まで減らすことが可能になっていました。
 ダンジョンまでもPC1人が達成されたら、もうTRPGの最低プレイヤー人数を1人と言って差し支えないですよね。
 「TRPGはプレイヤーを集めるのが大変で…」なんて言い訳が、消失する日も近いってことです。
 積年の壁が一つ消える様を目撃する皆様は、さぞかし爽快な気分でしょう!


 …え? 違うんですか? どうして?
 

【2010/09/03 02:28】 | トークRPG実験箱
トラックバック(0) |
 「ひらめき」頼りのシナリオ作りが苦しくなってきてしまったGMのための、方法論によるシナリオ加工技法のお話、後編です。(前編はこちら

 「ゴブリン退治」という変哲のないネタから始まり、「山に逃げ込んだ村人の依頼で、襲ってくるゴブリンから住処(逃げ込んでいる洞窟)を守る」という話に辿り着きました。
 ここで、「洞窟を守る」か「ゴブリンが占拠している村を襲撃する」か、どちらかの方向のシナリオにすることになりました。
 しかし、そんなシナリオ作った事ないGMもいるかも知れません。
 後編は、類型パターンから外れてしまった時の、シナリオの作り方のお話から始まります。


◆2つのポイント

 慣れていないパターンのシナリオを作る場合、「乗り越えるべき障害」「プレイヤーが判断できる要素」の二つがあるかどうかを意識すると良いでしょう。
 今回、「乗り越えるべき障害」は「ゴブリン退治」と明確です。
 しかし「洞窟を守るシナリオ」の場合、洞窟の入口からやってくるゴブリンをただ迎撃するだけでは、「プレイヤーの判断要素」がなく、あまり面白くないシナリオになってしまいます。
 もう一捻りが必要そうです。


◆選択肢を増やす

 詰まったら、他の方法論を検討してみても良いでしょう。
 ここでは別のテクニック、「選択肢を増やす」を使ってみましょう。
 選択肢を増やす…この場合は、敵が攻めてくる入口を増やすと、PCをどう配置させて防衛するか、の選択肢が増えるでしょう。
 最低でも2つ、できれば3つ4つの入口を用意しましょう。
 あと、村人も一つの部屋には入りきらないことにしましょう。
 どこから攻めてくるか分からない敵。複数の防衛対象。
 PCはどこを何人でどう守ると、村人を守りきれるのでしょうか?
 もちろん敵は、複数の入口から同時に攻めてきますよ!

 どうでしょう、これなら何とか面白いシナリオが作れるような気がしませんか?
 「村を襲撃するシナリオ」の方は、どうしたら良いのか、あなたが考えてみて下さい。

 (現実には、ここでもう一度「自然さを整える」必要があるでしょう。プレイヤーから「どうしてそんな防御しにくいところに逃げ込んだのか?」という疑問が出るでしょうから。「十分な広さのある洞窟はここしかなかった」あたりがその答えでしょうか。まあ何も思いつかなければ、「その方が面白いシナリオになると思ったから」と言い切ってしまう開き直りが、奥の手としてあります・笑)
 
 
◆シミュレートをしてみる

 方向性が決まったら、プレイヤーの立場に立って、シミュレートをしてみて下さい。
 例えば、こんなことを言い出すプレイヤーがいそうです。
 「洞窟の入口に、罠って仕掛けられないかな?」「村人って見張りぐらいできるんじゃない?」
 GM経験が浅いなら一律禁止でも構わないとは思いますが、対処できた方がより面白いシナリオになるのは確かです。
 「入口に限って罠の設置を認める(中に設置すると、村人がひっかかる)」「見張りぐらいならできる」ということにするのは、手間がかからないという点で悪くありません。


◆ディティールアップ

 よりシナリオを盛り上げたければ、「有限なリソース」としてプレイヤーの裁量に任せると面白くなります。

 例えば罠ならば、「この罠が設置できる」というリストをPCに渡して、洞窟のどこに罠を仕掛けるか考えてもらいましょう。
 仕掛けられる罠の個数は、プレイヤー人数個ぐらいが、みんなでわいわい楽しく設置できる数でしょうか(もちろん、逆に罠に徹底的にこだわるのもアリですけどね)。
 どこに仕掛けたかは、紙に書いてGMに見えないように裏返しておいてもらうと、より楽しめるでしょう。

 村人は、「PCよりは弱いものの、一芸持っている人」を何人か用意すると面白いですね。
 1方向の見張りを任せられるとか、回復が少しできるとか、2ターンだけ敵を防げるとかですね。
 臆病だったり能力が不足している人もいて、「一芸持ち」以外は何かを任せられないことします。
 (もちろん、これは一つの例なので、「見張りぐらいなら誰でもできる」とか、逆に「勇んで見張りに立つが、奇襲を受けて殺されてしまう」という設定の仕方もあります)
 村人は殺されてしまう可能性がある、という点を上手く使えると良いでしょう。生存している村人の数によって経験的に差が出るとかです。
 そうなれば、「村人に任せるよりは自分達でやった方がいいよ」とプレイヤーは考えるかも知れません。
 PCの行動が、割と英雄的or紳士的なものに帰結しやすい方法です。
 (インセンティブって言う方法論です)


◆さらに盛り上げる要素を探してみる

 余力があるのならば、もっと盛り上がる要素がないか探してみても良いでしょう。
 個性の強い村人を出したり、村人の人妻といい雰囲気になったりするとか。(私はロリコンなので人妻属性はありません。誤解なきよう。…ってそれはそれで問題か)


◆類型パターンから外れた場合の注意点

 ただこのシナリオ、ダンジョンの形状や防御対象の村人グループの数、入口の数などによって、何をどうやってもゲームオーバーになってしまう場合があります。
 (このシナリオに限らず、類型パターンから外れると、そういうことが起き易いですね)
 シミュレーションして、無理がないか検証して下さい。
 プレイヤーには不慣れなシナリオになっていると思いますので、少し難易度を緩めに作った方が良いでしょう。

 尚、どんなに準備しても、プレイヤーの予想外の発想で、シナリオを準備した範囲から物語が出て行ってしまうことは有り得ます。
 今回予告などで、はっきりした形でシナリオの内容を打ち出しておくと良いでしょう。例えば、「暗い洞窟の中、君達の背後で怯える村人。明るい入口から下卑た嗤いを張り付かせて、ゴブリンどもが迫り来る」とかです。
 どうしてもシナリオ範囲から出て行こうとするプレイヤーがいるようなら、はっきりと「今回はこういうシナリオしか用意していない」と言ってしまうべきでしょう。
 全行動を予測しそれに対応したシナリオを作るなんて、常人には無理ですから。(時々できる人がいますけどね…ま、常人だとは思ってないですけど・笑)


◆終わりに

 いかがでしょう、なんだか面白いシナリオになってきたと思いませんか?
 もちろん、ここで止めなくてはならない、ということは全くありません。
 自分が納得できる内容になるまで、色々と手を入れて行って下さい。
 ここまで来たら、敵がゴブリンである必要性もありませんね(笑)。
 私だったら、戦記物のシナリオにしてしまうと思います。ゴブリンを敵兵、村人を難民とかにします。難民の中に実は将軍なり王族なりが紛れ込んでいて、しかしその人物は難民達に慕われていて…とかいう話になりますかね。
 この話が「ゴブリン退治」というネタから出発したとは、もう誰も思いません(笑)。

 逆に、「ちょっと難しいかも」と思った人もいるかも知れません。
 今回、色々と紹介するために、盛り込み過ぎている部分もあります。
 ひとまずは、自分がピンときた方法から徐々に導入してみて下さい。
 自分の手に馴染んでくれば、無意識に使えるようになりますよ。


 尚、アイディアは色々と考えて、さらりと捨てることも大事です。良さそうなネタがあっても、シナリオまで発展できないと言うことは良くあることです。
 詰まったら捨てて、違う方向性を考えて見ましょう。
 違うことを考えているうちに、詰まっていた部分の解決方法が見つかる場合もあります。
 

 「面白いシナリオが思いつけない!」というアナタ、発想だけに頼らないシナリオ加工技術を修得してみるのも、一つの選択肢ですよ。


 (2010/09/03追記)
 コメントを頂いていたみたいです。

 >ちなみに、個人的には、上のって下記の車輪の最発明ってやつでしょうって感じですが。

 私にはいまひとつピンと来ていないのですが。
 シナリオの加工を違うものにして、例えば「森に潜むゴブリンを退治する」って話にして、ウィルダネスシナリオの作り方を解説したら、「ウィルダネスシナリオの再発明だ」とおっしゃられたのでしょうか?
 …まあ、そんなことは無いと思うのですけれども。
 経験の少ないGMならば、戦場物に関係するシナリオパターンを知らないことは、あるだろうと思うのです。そして自分の知っているパターンから外れてしまった時の、対処方法の一つを知っておくことも悪くないと思うのですが。
 そこで「これは拠点防衛というシナリオパターンで」という話にしたら、「シナリオパターンを沢山知っておきましょう」という話になってしまう気がするのですよね。
 まあ、パターンを多く知っておくことは良いことではありますが、今回説明したかったのはそういう事では、なかったものでして。
 


追記を閉じる▲

【2010/08/19 20:08】 | トークRPG実験箱
トラックバック(0) |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。