ただ見上げるより この手を伸ばしてみたくなるだけ (ポコアポコ/カヒーナムジカ)
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 敗戦の季節だから戦争のDVDを見ている…という訳でもないのですが。
 「捕虜大隊 シュトラフバット」が面白いです。
 TUTAYAでレンタルしてきて、現在第5話(二巻目)を見終わりました。
 面白いと言っても、割と善良な人にはショックが大きすぎる作品かも知れません。その自覚がある人は、これ以上は読まない方が身のためでしょう(苦笑)。
 その逆に、ショッキングな映像を期待している人にも、あまりお勧めしません。画面そのものは控え目だからです。
 
 捕虜大隊(正確には「懲罰大隊」と言う模様)とは、一度捕虜になった後に戻って来た兵士、政治犯、刑事犯を寄せ集めて作った部隊のこと。「正規軍の戦力が不足してきたので、犯罪者を前線に送り込んで戦力にしよう」という発想で作られた訳です。

 …分からない人のために補足しておきますと。捕虜になった兵士に対して、「祖国を裏切ってうちの国のために働けば、うちの国で身分を保証してやるぞ。金をやるぞ」などと言い含めてスパイにしたり、旧祖国兵への降伏勧誘に使ったり、あるいは集めて旧祖国と戦わせたり…ということが、第二次世界大戦には割とあったそうなのです。
 ややこしい事に第二次世界大戦には、「ナチズムに反対するドイツ兵」とか「共産主義に反対するソ連兵」とかがいたので、この種の裏切りをむしろ「祖国のため」と信じて行うケースがあったらしいのです。
 日本人にも共産主義に賛同して、毛沢東側について日本と戦った兵士がいました。
 (最初、捕虜大隊ってこの「祖国のために祖国を裏切った人」の物語かと思っていたのですが、違いました)
 そのため、「戻って来た捕虜=スパイ」と疑われるのは、一部止むを得ない無いところがあります。(もっともスターリン時代のソ連という国は、人を疑うことが大好きだった節がありますが)
 しかし、無実なのに疑われる兵士にしてみると。死にそうな目にあって脱走して戻って来たのに、スパイと見なされ裏切り者として扱われるるというのは、絶望的な屈辱でもあるわけで……

 このように、絶望的な状況から始まる、とてもやるせない物語…という舞台設定に心惹かれて、借りてきました。
 「そういう絶望的な状況でも、どうして人間は生き続けようと思うのだろう?」

 …がしかし。
 最初の2話を見ている時はずっと首を傾げていました。
 設定はたしかにやるせない。悲惨なエピソードもあります。
 しかし、どうしてもなんだか「うわの空」。全然心に響いてこない。

 …まあ、言っちゃ悪いですが、割と演出は下手な気がします。
 特に最初の戦闘。700名いた兵士のうち、なんと500名が戦死したり、味方に射殺されたりしてしまいます。
 これだけ聞くとなんと哀しい物語なのだろう…と思います。しかし。味方に射殺された100名はともかく、戦死した400名は一度たりとも画面に出てこないのです。
 つまり、「画面に出てこなかった人が400人死にました」。
 …それで泣くのは、なかなか厳しい。
 戦記にそういう記述が出てきた時には悄然とした気持ちになります。しかし、どんどん話が先に進んでいってしまう映像では、何か想像を広げる前に話が次に行ってしまうのです。

 それでも見続けていたのは、話が先に進むにつれ、徐々に顔のある戦死者が増えてきたから。
 少しずつ、エゴ丸出しの刑事犯たちの行動が人間くささを、政治犯達が当時のソ連の状況のリアリティを、話に彩って行きます。懲罰兵同士の因縁が、話の奥行きを作って行きます。
 そうして“知り合った”兵士たちが、ひどくあっさりと死んでいく。それはもう、びっくりするぐらいに。
 それが軽いパンチを何度も同じ箇所に叩き込まれるように、徐々に効いてくるのです。やるせない気持ちになってくるのです。「ああ、今日はあいつが死んだ…」
 そして気づけば、画面に釘付けになっているのです。

 …最初の1巻目を見切ることができれば、きっと感じるものがある作品だと思います。
 戦争と言うのは、こういうものなんですよねぇ……



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 捕虜大隊(正確には「懲罰大隊」と言う模様)とは、一度捕虜になった後に戻って来た兵士、政治犯、刑事犯を寄せ集めて作った部隊のこと。「正規軍の戦力が不足してきたので、犯罪者を前線に送り込んで戦力にしよう」という発想で作られた訳です。

 …分からない人のために補足しておきますと。捕虜になった兵士に対して、「祖国を裏切ってうちの国のために働けば、うちの国で身分を保証してやるぞ。金をやるぞ」などと言い含めてスパイにしたり、旧祖国兵への降伏勧誘に使ったり、あるいは集めて旧祖国と戦わせたり…ということが、第二次世界大戦には割とあったそうなのです。
 ややこしい事に第二次世界大戦には、「ナチズムに反対するドイツ兵」とか「共産主義に反対するソ連兵」とかがいたので、この種の裏切りをむしろ「祖国のため」と信じて行うケースがあったらしいのです。
 日本人にも共産主義に賛同して、毛沢東側について日本と戦った兵士がいました。
 (最初、捕虜大隊ってこの「祖国のために祖国を裏切った人」の物語かと思っていたのですが、違いました)
 そのため、「戻って来た捕虜=スパイ」と疑われるのは、一部止むを得ない無いところがあります。(もっともスターリン時代のソ連という国は、人を疑うことが大好きだった節がありますが)
 しかし、無実なのに疑われる兵士にしてみると。死にそうな目にあって脱走して戻って来たのに、スパイと見なされ裏切り者として扱われるるというのは、絶望的な屈辱でもあるわけで……

 このように、絶望的な状況から始まる、とてもやるせない物語…という舞台設定に心惹かれて、借りてきました。
 「そういう絶望的な状況でも、どうして人間は生き続けようと思うのだろう?」

 …がしかし。
 最初の2話を見ている時はずっと首を傾げていました。
 設定はたしかにやるせない。悲惨なエピソードもあります。
 しかし、どうしてもなんだか「うわの空」。全然心に響いてこない。

 …まあ、言っちゃ悪いですが、割と演出は下手な気がします。
 特に最初の戦闘。700名いた兵士のうち、なんと500名が戦死したり、味方に射殺されたりしてしまいます。
 これだけ聞くとなんと哀しい物語なのだろう…と思います。しかし。味方に射殺された100名はともかく、戦死した400名は一度たりとも画面に出てこないのです。
 つまり、「画面に出てこなかった人が400人死にました」。
 …それで泣くのは、なかなか厳しい。
 戦記にそういう記述が出てきた時には悄然とした気持ちになります。しかし、どんどん話が先に進んでいってしまう映像では、何か想像を広げる前に話が次に行ってしまうのです。

 それでも見続けていたのは、話が先に進むにつれ、徐々に顔のある戦死者が増えてきたから。
 少しずつ、エゴ丸出しの刑事犯たちの行動が人間くささを、政治犯達が当時のソ連の状況のリアリティを、話に彩って行きます。懲罰兵同士の因縁が、話の奥行きを作って行きます。
 そうして“知り合った”兵士たちが、ひどくあっさりと死んでいく。それはもう、びっくりするぐらいに。
 それが軽いパンチを何度も同じ箇所に叩き込まれるように、徐々に効いてくるのです。やるせない気持ちになってくるのです。「ああ、今日はあいつが死んだ…」
 そして気づけば、画面に釘付けになっているのです。

 …最初の1巻目を見切ることができれば、きっと感じるものがある作品だと思います。
 戦争と言うのは、こういうものなんですよねぇ……


【2006/08/08 01:59】 | 哀心よりお悔やみ申し上げます
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