ただ見上げるより この手を伸ばしてみたくなるだけ (ポコアポコ/カヒーナムジカ)
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 知人から「ダブルクロス3rd ルールブック1の重版ペースが上がってるんじゃないか?」と言う話を聞いて、興味を覚えたので調査してみました。

 ※元々は、今年3月ごろに書いていたのですが、同人誌の締切が迫ってきたのでそのまま保留していた記事です。
  現状に合うように、少し加筆しました。


◆ダブルクロス3rd ルールブック1の重版時期

 フォロワーさん他のご協力で、重版日がだいたい判明したので、まとめるとこんなグラフになりました。


dup_image001.gif


 ※第7、9版はFEAR公式ツイッターの重版ツイート日付、それ以外はルルブの奥付。

 初版~第3版までは短期間に重版していますが、そこから1年4ヶ月重版がありません。
 しかし、2011年から重版が再開し、以降だいたい半年に一回ペースで重版されています。
 確かに2010年~11年の重版されなさと比較すると、重版ペースが上がってるように感じますね。知人の話は、この辺から出てきた感覚のようです。

 以上、終わり。


 …と思いきや。調査に協力して下さった方にこのグラフを見てもらった所、意見が2つに割れました。
 「重版ペースが上がっている」と言う意見と、「変わっていない(上がったとまでは言えない)」、です。

 以下、なぜサクッと投稿できなかったのかその理由が分かる、ダラダラとした長文です。
 あまり分かり易くもないので、お暇な方のみお付き合い下さい。
 
◆ペースが上がっている派の見方

 ペースが上がっている派の見方はこうです。
 「初版~3版までの間は、版上げに伴う需要があり、ルールブックが短期間に重版された。それが一旦満たされると、在庫の減り方がゆっくりになり、2011年ごろからダブルクロスが注目される理由があり、再びルールブックが売れるようなった」と言うものです。

 2011年はダブルクロス10周年の年で、リプレイはデザイアが完結したり、デイズやナイツ、アカデミアが始まったり、クロニクルが出た年でした。注目を集める要素はあったと言えそうです。(ただし新しく始まったシリーズは4版重版後に出ています)
 10周年記念の一環として第4版の増刷が行われた可能性も考えられるでしょう(10周年記念の企画や宣伝で売り上げが伸びることを見越して、商売チャンスを逃さないために弾をリロードしておいた…という感じでしょうか)。
 ちなみに前年の2010年は3rd最初のリプレイであるジェネシスが完結し、デザイアが始まった年でした。

 また、ニコニコ動画に投稿される動画のタグの調査によると、ダブルクロスが2011年からランキング10位内に登場します。タグをシステム名だけに限れば、2014年に3位になってます。

 投稿数じゃなくて再生数でないと信用できないという人もいるかも知れませんが、再生数はちょっと難しいんですよ。
 いや、ニコニコ動画で動画を検索すれば再生数付きで結果が出てきます。
 それを動画の投稿時期で集計すれば、いつ頃の動画がどのぐらい見られていたのか分かり、動画再生数の推移が分かる気がしますね?
 でも、2011年に投稿され現在(2015年)まで4年間の期間があった動画と、今月投稿された動画の再生数を、単純に比較してしまって良いのでしょうか?
 ロングテールは存在しないとは言われますが、逆に人気のある物への集中が起きるとも言われます。
 再生が評判の良い動画に集中すると考えると、人気動画は投稿から間が空いた方が再生数を増やすかも知れません。
 実際、ニコニコ動画の再生数を、動画の投稿時期ごとにグラフにすると下のようになります(2015年3月末調査。作業時間の兼ね合いから1万再生以上の動画を対象とし、その月に投稿された動画の再生数の合計を集計したもの。検索ワード:ダブルクロス)。


dup_image008.gif


 右下がりの傾向ですよね? 古い動画の方が再生数が多いからかも知れません。
 間が空いてしまった事を奇貨に、2015年10月に調べてみると…


 dup_image009.png


 と言う結果になりました。
 全体的に再生数が増加していて、2014年後半の増加が目を引きますね。
 やはり、時間が経つと再生数は増える傾向にある訳です。
 1万再生以上の動画を対象にしているので、それ以下だった動画が再生数を伸ばし、集計対象になったという面もあります。
 逆に減っている月もありますが、動画が削除されたり、タグが変わって検索にひっかからなくなったりしたと考えられます。(逆もあるでしょう)
 従ってニコ動再生数は、「古い動画ほど再生数が多く、新しい動画ほど再生数が少ないのが基調である」「集計時期で結果が変わる」という(可能性のある)、扱いに注意が必要なデーターである事が分かります。
 ただし、サンプルが1つしかないので、これを以って全てのシステムの動画で同じ傾向であると断言することはできません。
 あくまで、注意が必要であることを示せたに留まります。

 もちろん本当は、毎月再生数がいくら増えているのか調べ、「その月に再生された数」を集計できるのがベストです。
 しかし過去に遡ってそれを調査する方法は、今のところ発見できていません。

 見るのに注意が必要なグラフですが、うかつにも集計してしまいましたので、参考としては使ってみましょう。(諸事情で3月末に集計したデーターを使用して行きます)
 ニコ動の再生数のグラフに、重版タイミングを重ねてみました。


dup_image002.gif


 …どうもはっきりしないグラフですね。
 一応、第4版の重版前に再生数のピークはありますが、月合計で数万なので、動画の影響で重版したと言うのは少し難しい感じがします。
 しかし第4版の重版後は一気にピークが跳ね上がり、月合計25万~30万程度まで行っていますから、第5版以降は動画の影響があるかも知れません。
 (逆に重版されたからプレイ人口が増えて動画が増加したという可能性も…?)

 第10版辺りになってくると、動画の影響があったのかなかったのか判定がなかなか困難そうです。
 (前述の通り、投稿から期間の短い動画は再生数が伸びないので、その影響でしょう)


◆上がったと言えない派の見方

 一方、上がったとは言えない派の見方はこうです。
 「初版発売直後、注文は多かったが、全ての店舗で売れていた訳ではなかったのではないか。見込みで重版したが、売れ残って戻ってきた在庫があり、それがはけるのに1年4ヶ月かかったのではないか?」
 書籍には再販制度があり、売れ残りは返品できるルールになっています。
 しかし、返品期限は(契約上)一般的に100日~1年後のようですので、売れている店舗は在庫切れになっている一方、売れてない店舗では売れずに最長1年もストックされたままになってしまいます。
 そこで、鉄を熱い内に打つために見込みで重版を実施し、不足している店舗に本を供給したのではないかと、予想される訳ですね。
 その後、売れ残りが出版社に戻ってきたので重版をやめ、その在庫がなくなったのが2011年だったのではないか、と言う事です。
 この場合、2011年より前から本の実売ペースはおそらく変わっていなくて、2011年に何も特別な事は起こっていない、と言う事になります。
 実際、ニコ動の動画再生数で、第4版の重版の前に顕著なピークが存在しないことを見ると、この説ももっともらしく見えます。

 ただ、重版頻度は通常、だんだん間隔が開いて行くように思いますが、それが最近まで見られず6年経ってもコンスタントに売れている、と言うのは(頻度が上がっていなかったとしても)悪くない売れ方なのでしょうね。
 そちらに関しては、前述の通り、動画の影響が考えられるのかも知れません。

 両方の見方にそれぞれもっともらしい面があります。
 その両方の事情が混ざっていたのが実際なのかも知れません。
 重版タイミングのデーターはあっても、売り上げ部数のデーターはありませんので、断定はできないのですが。


◆ソードワールド1.0完全版の場合

 重版タイミングを調査している人と言うのは案外いて、ソードワールド1.0完全版、2.0無印(改訂前)、クトゥルフ(エンターブレイン版)について、不完全ながらデーターがあります。

 せっかくなので見比べてみましょう。
 まずはソードワールド1.0完全版。文庫ではなく、ハードカバーのムック版です。


dup_image003.gif

 (出典

 ダブルクロス3rdのような、初版付近の短期間重版がありませんね。
 前半はだいたい一定のペースを維持、2001~02年に重版ペースが上がっている可能性がありそうです。
 ただ、その後ペースが落ちて、結局、全体としては同じペースになっているようにも見えます。
 この辺で何があったのか気になるところですね。ダブルクロス3rdの初版付近の短期間重版と同じなのか、また別の事情があるのか。
 SWリプレイが復活して単行本として出た(へっぽこーず)のが2001年6月ですので、関連があるようにも思えます。リプレイで新規ユーザーが増え、ルルブの需要が伸びたのでしょうか?
 前後の重版データーが不足していて、判断しにくいのが残念なところです。
 ちなみに、ニコニコ動画がなかった時代、と言う点も留意しておいた方が良いかも知れません。


◆ソードワールド2.0無印ルールブック1の場合

 続いて、ソードワールド2.0無印(文庫)です。


dup_image004.gif

 (出典

 ダブルクロスより極端に、初版付近で重版が多く、そして2年間重版がなく、2010年頃から約4ヶ月に一回ペースになります。
 「初期に重版が重なって、その後間隔が空く」という現象には、共通してますね。
 SW2.0無印ルールブック1も10版まで出ていますが、10版までにかかった時間が約3年11ヶ月と、ダブルクロスの約5年3ヶ月よりかなり短いですね。やはりソードワールドは強いということなのでしょうか。

 2010年の書籍リプレイは、継続シリーズとして新米女神が続いており、マージナル・ライダーが完結、(重版後)USAがスタートという状況です。
 ニコニコ動画の投稿動画のタグでは、トップ10位内(システム名に限れば1~2位)に入っています。
 ただ同じぐらいの順位と言っても、月別投稿数で見れば2009年後半頃から急増しています。

 再生数のグラフを見てみますと…(検索ワード:ソードワールド。2.0に限定していないため、1.0が混ざっているかも知れません)


dup_image005.gif


 これは顕著にピークが見えますね。
 動画によってルールブックの売上が伸び、重版に繋がった可能性は、ダブルクロスよりはよほど考えられるでしょう。(そもそもダブルクロスより再生数がかなり多いですね)。
 もちろん、重版前に動画再生数のピークがあったからと言って、即動画によって重版がかかったとは言えませんけどね。(尚、動画視聴者が必ずしもニコニコ市場でルールブックを買っているとは限らない点にも留意が必要です)

 ちなみに、2012年7月に改訂版が出ています。重版間隔から推測すると、10版の次は改訂初版で、おそらく11版は存在しないのではないかと思います。


◆クトゥルフ神話TRPGの場合

 最後にクトゥルフです(クトゥルフ神話TRPG、エンターブレイン版)。


dup_image006.gif

 (出典

 これは分かりやすいですね。
 最初は約2年ごとの増刷だったのですが、明らかに途中から増刷が加速しています。
 何か外的要因で注目が集まり、ルールブックが売れるようになった訳ですね。
 2010年9月の増刷は従来の増刷間隔と同じぐらいなので、その次の2011年4月の増刷から頻度が上がったと考えられます。
 2010年末~2011年に、何があったのでしょうか。
 2010年は、書籍リプレイでは、るるいえあんてぃーくシリーズが継続中です。ちなみに「這いよれ!にゃる子さん」の小説が始まったのが前年の2009年で、るるいえあんてぃーくシリーズは意図的にニャル子さんと同じ絵師を起用したという話ですので、関連があるかも知れません。

 動画再生数の方を見てみましょう。(検索ワード:クトゥルフ TRPG)
 クトゥルフ動画は数が多いため、再生数約3万以上を対象に集計しています。


dup_image007.gif


 2011年から一つのピークが出現している事が分かります。
 これ、再生数の桁がダブルクロスやSWと違っているので小さく見えますが、月合計で100万再生を超えているんですよね。
 一方、2011年に投稿された動画本数はそこまで多くない感じですね。
 2011年後半にかけて再生数が減少しているのも不思議ですが、人気はあるものの投稿数が多くないために、投稿されていない時期には再生数が減る傾向であるようです。(ある動画の再生数は、その動画が投稿された月に全て計上するという集計方式ですので)
 谷に見えている時期でも実際は視聴の勢いが衰えていなかった可能性はあります。

 2012年は、ニャル子さんアニメ化以前、既に1月からニコ動で盛り上がっていた事が分かります。
 (動画を削除した某議論を招く方も、この時期から投稿していたようです)
 その後は、まあコメントしなくても良いでしょう。


◆まとめてみると

 サンプル数が文庫版2、ムック版2と少ないので、まだ結論を出すには早いでしょう。
 ただ仮に、初版付近の重版が文庫版の特徴だとしたら、これは再販制度の影響を受けている可能性が高くなってきますね。
 ムック版は、ホビーショップなどホビー流通の(再販制度が適用されない)店が、取扱の大きなウェイトを占めるのではないかと思います。
 一方、文庫版は、もっと客層が広い一般書店にも並びやすいでしょう。
 従ってムック版は返品が少なく、文庫版は多くなっているのではないかと思います。
 それがムックと文庫の重版間隔の差になって表れている、という推測ですね。 

 しかしその一方で、重版の前には、公式展開やアマチュア動画など、外的要因が存在しているケースもあるようです。

 実際のところ、どちらか一方という事ではなく、両方の事情が混在しているのかも知れません(あまり面白くないまとめですね)。

 ちなみに今回データーが入手できたシステムは、どれも人気のあるシステムであると言う点に注意が必要そうです。
 前述のニコ動の投稿動画タグでも、クトゥルフ、SW2.0、ダブルクロスは上位に入っています。
 コミケのサークル数(thenextgamersさん)で見ても、2014年時点で一番数が多いのがクトゥルフで、2位グループにSWとダブルクロスがいます。
 なので、重版パターンに共通性があるように見える部分は、人気システムに限られた傾向である可能性もあります。

 もう少し幅広いシステムで重版時期の情報が集まって比較できると、色々な事が分かってきて面白そうですね。


 ご協力&SPthanks:フォロワーの皆様、リンク先の皆様、SToL、某知人


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◆ペースが上がっている派の見方

 ペースが上がっている派の見方はこうです。
 「初版~3版までの間は、版上げに伴う需要があり、ルールブックが短期間に重版された。それが一旦満たされると、在庫の減り方がゆっくりになり、2011年ごろからダブルクロスが注目される理由があり、再びルールブックが売れるようなった」と言うものです。

 2011年はダブルクロス10周年の年で、リプレイはデザイアが完結したり、デイズやナイツ、アカデミアが始まったり、クロニクルが出た年でした。注目を集める要素はあったと言えそうです。(ただし新しく始まったシリーズは4版重版後に出ています)
 10周年記念の一環として第4版の増刷が行われた可能性も考えられるでしょう(10周年記念の企画や宣伝で売り上げが伸びることを見越して、商売チャンスを逃さないために弾をリロードしておいた…という感じでしょうか)。
 ちなみに前年の2010年は3rd最初のリプレイであるジェネシスが完結し、デザイアが始まった年でした。

 また、ニコニコ動画に投稿される動画のタグの調査によると、ダブルクロスが2011年からランキング10位内に登場します。タグをシステム名だけに限れば、2014年に3位になってます。

 投稿数じゃなくて再生数でないと信用できないという人もいるかも知れませんが、再生数はちょっと難しいんですよ。
 いや、ニコニコ動画で動画を検索すれば再生数付きで結果が出てきます。
 それを動画の投稿時期で集計すれば、いつ頃の動画がどのぐらい見られていたのか分かり、動画再生数の推移が分かる気がしますね?
 でも、2011年に投稿され現在(2015年)まで4年間の期間があった動画と、今月投稿された動画の再生数を、単純に比較してしまって良いのでしょうか?
 ロングテールは存在しないとは言われますが、逆に人気のある物への集中が起きるとも言われます。
 再生が評判の良い動画に集中すると考えると、人気動画は投稿から間が空いた方が再生数を増やすかも知れません。
 実際、ニコニコ動画の再生数を、動画の投稿時期ごとにグラフにすると下のようになります(2015年3月末調査。作業時間の兼ね合いから1万再生以上の動画を対象とし、その月に投稿された動画の再生数の合計を集計したもの。検索ワード:ダブルクロス)。


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 右下がりの傾向ですよね? 古い動画の方が再生数が多いからかも知れません。
 間が空いてしまった事を奇貨に、2015年10月に調べてみると…


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 と言う結果になりました。
 全体的に再生数が増加していて、2014年後半の増加が目を引きますね。
 やはり、時間が経つと再生数は増える傾向にある訳です。
 1万再生以上の動画を対象にしているので、それ以下だった動画が再生数を伸ばし、集計対象になったという面もあります。
 逆に減っている月もありますが、動画が削除されたり、タグが変わって検索にひっかからなくなったりしたと考えられます。(逆もあるでしょう)
 従ってニコ動再生数は、「古い動画ほど再生数が多く、新しい動画ほど再生数が少ないのが基調である」「集計時期で結果が変わる」という(可能性のある)、扱いに注意が必要なデーターである事が分かります。
 ただし、サンプルが1つしかないので、これを以って全てのシステムの動画で同じ傾向であると断言することはできません。
 あくまで、注意が必要であることを示せたに留まります。

 もちろん本当は、毎月再生数がいくら増えているのか調べ、「その月に再生された数」を集計できるのがベストです。
 しかし過去に遡ってそれを調査する方法は、今のところ発見できていません。

 見るのに注意が必要なグラフですが、うかつにも集計してしまいましたので、参考としては使ってみましょう。(諸事情で3月末に集計したデーターを使用して行きます)
 ニコ動の再生数のグラフに、重版タイミングを重ねてみました。


dup_image002.gif


 …どうもはっきりしないグラフですね。
 一応、第4版の重版前に再生数のピークはありますが、月合計で数万なので、動画の影響で重版したと言うのは少し難しい感じがします。
 しかし第4版の重版後は一気にピークが跳ね上がり、月合計25万~30万程度まで行っていますから、第5版以降は動画の影響があるかも知れません。
 (逆に重版されたからプレイ人口が増えて動画が増加したという可能性も…?)

 第10版辺りになってくると、動画の影響があったのかなかったのか判定がなかなか困難そうです。
 (前述の通り、投稿から期間の短い動画は再生数が伸びないので、その影響でしょう)


◆上がったと言えない派の見方

 一方、上がったとは言えない派の見方はこうです。
 「初版発売直後、注文は多かったが、全ての店舗で売れていた訳ではなかったのではないか。見込みで重版したが、売れ残って戻ってきた在庫があり、それがはけるのに1年4ヶ月かかったのではないか?」
 書籍には再販制度があり、売れ残りは返品できるルールになっています。
 しかし、返品期限は(契約上)一般的に100日~1年後のようですので、売れている店舗は在庫切れになっている一方、売れてない店舗では売れずに最長1年もストックされたままになってしまいます。
 そこで、鉄を熱い内に打つために見込みで重版を実施し、不足している店舗に本を供給したのではないかと、予想される訳ですね。
 その後、売れ残りが出版社に戻ってきたので重版をやめ、その在庫がなくなったのが2011年だったのではないか、と言う事です。
 この場合、2011年より前から本の実売ペースはおそらく変わっていなくて、2011年に何も特別な事は起こっていない、と言う事になります。
 実際、ニコ動の動画再生数で、第4版の重版の前に顕著なピークが存在しないことを見ると、この説ももっともらしく見えます。

 ただ、重版頻度は通常、だんだん間隔が開いて行くように思いますが、それが最近まで見られず6年経ってもコンスタントに売れている、と言うのは(頻度が上がっていなかったとしても)悪くない売れ方なのでしょうね。
 そちらに関しては、前述の通り、動画の影響が考えられるのかも知れません。

 両方の見方にそれぞれもっともらしい面があります。
 その両方の事情が混ざっていたのが実際なのかも知れません。
 重版タイミングのデーターはあっても、売り上げ部数のデーターはありませんので、断定はできないのですが。


◆ソードワールド1.0完全版の場合

 重版タイミングを調査している人と言うのは案外いて、ソードワールド1.0完全版、2.0無印(改訂前)、クトゥルフ(エンターブレイン版)について、不完全ながらデーターがあります。

 せっかくなので見比べてみましょう。
 まずはソードワールド1.0完全版。文庫ではなく、ハードカバーのムック版です。


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 (出典

 ダブルクロス3rdのような、初版付近の短期間重版がありませんね。
 前半はだいたい一定のペースを維持、2001~02年に重版ペースが上がっている可能性がありそうです。
 ただ、その後ペースが落ちて、結局、全体としては同じペースになっているようにも見えます。
 この辺で何があったのか気になるところですね。ダブルクロス3rdの初版付近の短期間重版と同じなのか、また別の事情があるのか。
 SWリプレイが復活して単行本として出た(へっぽこーず)のが2001年6月ですので、関連があるようにも思えます。リプレイで新規ユーザーが増え、ルルブの需要が伸びたのでしょうか?
 前後の重版データーが不足していて、判断しにくいのが残念なところです。
 ちなみに、ニコニコ動画がなかった時代、と言う点も留意しておいた方が良いかも知れません。


◆ソードワールド2.0無印ルールブック1の場合

 続いて、ソードワールド2.0無印(文庫)です。


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 (出典

 ダブルクロスより極端に、初版付近で重版が多く、そして2年間重版がなく、2010年頃から約4ヶ月に一回ペースになります。
 「初期に重版が重なって、その後間隔が空く」という現象には、共通してますね。
 SW2.0無印ルールブック1も10版まで出ていますが、10版までにかかった時間が約3年11ヶ月と、ダブルクロスの約5年3ヶ月よりかなり短いですね。やはりソードワールドは強いということなのでしょうか。

 2010年の書籍リプレイは、継続シリーズとして新米女神が続いており、マージナル・ライダーが完結、(重版後)USAがスタートという状況です。
 ニコニコ動画の投稿動画のタグでは、トップ10位内(システム名に限れば1~2位)に入っています。
 ただ同じぐらいの順位と言っても、月別投稿数で見れば2009年後半頃から急増しています。

 再生数のグラフを見てみますと…(検索ワード:ソードワールド。2.0に限定していないため、1.0が混ざっているかも知れません)


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 これは顕著にピークが見えますね。
 動画によってルールブックの売上が伸び、重版に繋がった可能性は、ダブルクロスよりはよほど考えられるでしょう。(そもそもダブルクロスより再生数がかなり多いですね)。
 もちろん、重版前に動画再生数のピークがあったからと言って、即動画によって重版がかかったとは言えませんけどね。(尚、動画視聴者が必ずしもニコニコ市場でルールブックを買っているとは限らない点にも留意が必要です)

 ちなみに、2012年7月に改訂版が出ています。重版間隔から推測すると、10版の次は改訂初版で、おそらく11版は存在しないのではないかと思います。


◆クトゥルフ神話TRPGの場合

 最後にクトゥルフです(クトゥルフ神話TRPG、エンターブレイン版)。


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 (出典

 これは分かりやすいですね。
 最初は約2年ごとの増刷だったのですが、明らかに途中から増刷が加速しています。
 何か外的要因で注目が集まり、ルールブックが売れるようになった訳ですね。
 2010年9月の増刷は従来の増刷間隔と同じぐらいなので、その次の2011年4月の増刷から頻度が上がったと考えられます。
 2010年末~2011年に、何があったのでしょうか。
 2010年は、書籍リプレイでは、るるいえあんてぃーくシリーズが継続中です。ちなみに「這いよれ!にゃる子さん」の小説が始まったのが前年の2009年で、るるいえあんてぃーくシリーズは意図的にニャル子さんと同じ絵師を起用したという話ですので、関連があるかも知れません。

 動画再生数の方を見てみましょう。(検索ワード:クトゥルフ TRPG)
 クトゥルフ動画は数が多いため、再生数約3万以上を対象に集計しています。


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 2011年から一つのピークが出現している事が分かります。
 これ、再生数の桁がダブルクロスやSWと違っているので小さく見えますが、月合計で100万再生を超えているんですよね。
 一方、2011年に投稿された動画本数はそこまで多くない感じですね。
 2011年後半にかけて再生数が減少しているのも不思議ですが、人気はあるものの投稿数が多くないために、投稿されていない時期には再生数が減る傾向であるようです。(ある動画の再生数は、その動画が投稿された月に全て計上するという集計方式ですので)
 谷に見えている時期でも実際は視聴の勢いが衰えていなかった可能性はあります。

 2012年は、ニャル子さんアニメ化以前、既に1月からニコ動で盛り上がっていた事が分かります。
 (動画を削除した某議論を招く方も、この時期から投稿していたようです)
 その後は、まあコメントしなくても良いでしょう。


◆まとめてみると

 サンプル数が文庫版2、ムック版2と少ないので、まだ結論を出すには早いでしょう。
 ただ仮に、初版付近の重版が文庫版の特徴だとしたら、これは再販制度の影響を受けている可能性が高くなってきますね。
 ムック版は、ホビーショップなどホビー流通の(再販制度が適用されない)店が、取扱の大きなウェイトを占めるのではないかと思います。
 一方、文庫版は、もっと客層が広い一般書店にも並びやすいでしょう。
 従ってムック版は返品が少なく、文庫版は多くなっているのではないかと思います。
 それがムックと文庫の重版間隔の差になって表れている、という推測ですね。 

 しかしその一方で、重版の前には、公式展開やアマチュア動画など、外的要因が存在しているケースもあるようです。

 実際のところ、どちらか一方という事ではなく、両方の事情が混在しているのかも知れません(あまり面白くないまとめですね)。

 ちなみに今回データーが入手できたシステムは、どれも人気のあるシステムであると言う点に注意が必要そうです。
 前述のニコ動の投稿動画タグでも、クトゥルフ、SW2.0、ダブルクロスは上位に入っています。
 コミケのサークル数(thenextgamersさん)で見ても、2014年時点で一番数が多いのがクトゥルフで、2位グループにSWとダブルクロスがいます。
 なので、重版パターンに共通性があるように見える部分は、人気システムに限られた傾向である可能性もあります。

 もう少し幅広いシステムで重版時期の情報が集まって比較できると、色々な事が分かってきて面白そうですね。


 ご協力&SPthanks:フォロワーの皆様、リンク先の皆様、SToL、某知人

【2015/10/09 01:53】 | トークRPG
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