ただ見上げるより この手を伸ばしてみたくなるだけ (ポコアポコ/カヒーナムジカ)
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 何事もなかったかのように、関係ない話を書きます。
 「私は未来を探したい」と言うことで(笑)。
 …書くのが後回しになっていたのが実情です。


 ダンジョンに潜って宝物探し。TRPGのシナリオの重要なパターンの一つです。
 ダンジョンは古代文明の遺跡だったりする事も多く、古代文明の遺産が良く手に入ります。金銀財宝に、マジックアイテム。
 しかし、私は長いこと疑問を抱えていたのです。
 現実の遺跡から発掘されるものって、他にありませんか?
 そう、「美術品」です。

 
 エジプトの遺跡は多くが盗掘に遭っていますが、盗掘犯の目当ての一つが美術品です。
 確かに、エジプトの美術品には金が使われていて、材質だけでも高価なものはいっぱいあったでしょう。
 しかし、そこに芸術品としての価値を認める収集家がいたからこそ、値段が吊り上ったのです。材質だけでなく、芸術としての価値があるものも出てきたのです。
 (そうでなかったら、フランス人が何でオベリスクなんか持ち帰るものですか)
 だから私は、ダンジョンで美術品も出てくるべきだと思うのです。

 しかし、これには大きな問題がありました。
 「その宝箱にはね、白の月時代の精巧な馬の置物が入っているよ」
 「ふーーん。で、いくらなの?」

 そう。単純に芸術品を出しただけだと、それはお金を出すのと大して変わらないのです。
 多くのプレイヤーは「自分は芸術なんか理解できない」と信じている上、「美術品は高い値段がつく」という認識を持っています。いきおい、「美術品=金」という流れになってしまうのです。
 確かにエジプトの盗掘犯はそんな気分だったのかも知れません。しかし、そこにはフランス人がオベリスクを持ち帰りたいと思うような「感動」がありません。
 それでは芸術品を扱ったことにならないと思うのです。
 フランス人のようにプレイヤーにも感動してもらいたい!


 次に私が考えたのは、美術品の外見を細かく描写するという方法でした。
 しかし、これには私自身の詩的能力の欠如という大きな問題が存在しました。風景描写や人物描写が巧みでない人間が、どうやって美術品を描写しろと?
 さらに、多くの人がエジプトの美術品を見ても別に感動しないように、上手く描写できてもプレイヤーが感動しないという危険性もあります(苦笑)。
 「ふーーん。で、いくらなの?」になってしまっては面白くないのです。


 そもそも根本的な問題もありました。
 私は美術に関しては素養がありません。
 そんな人間が、「美術品をTRPGで扱うべきだ」という理屈だけで解決策を思いつける訳がないのです(苦笑)。

 そこで私は、とりあえず美術品に触れてみることから始めました。
 といっても、そこまで美術が好きだった訳でもないので、テレビで特集をやっていた時に務めて見るようにする…という程度でしたが。
 幸いにしてその頃は、(美術好きの)父親と同居していましたから、いきおい美術の番組を見る機会は多かったのですが。

 そしてある日。NHKスペシャルを見ていた時に来たのです。インスピレーションが。
 画面に映っていたのは「曜変天目茶碗」。
 真っ黒な茶碗の中に、大小さまざまな色の結晶が散らばっている茶碗です。
 初めから結晶を入れたのではなく、焼いている途中に何某かの化学反応によって、自然に結晶ができてしまった(それを曜変と言います)ものです。
 この茶碗を見た時、私は息を飲みました。
 突然目の前にまっくろな宇宙が広がり、目の前を火星や木星などの惑星が、悠然と泳いで横切っていくような、そういう風景が見えたのです。
 直後、ナレーションが言います。「…曜変があたかも星のように見え、星空のような茶碗として…」
 この感覚!?

 どことなく後に抽象画が好きになる時と様子が似ているのですが、そういう「そこにあるものから想像を膨らませる」という楽しみ方をする美術と相性が良いのかも知れません。
 もちろん、美術品には他の素晴らしさもあるに違いありません。ダビデやモナリサなどの写実的な美しさは、多分別の感覚だと思うのですが、それはまだ理解できたとは言い難い状況です。


 しかしまあとにかく、この感覚を元に美術品を扱う方法を考えてみました。
 美術品の外見を説明してそれを素晴らしいと思ってもらうのではなく、逆に美術品からPCが受けた印象を語ることで、プレイヤーにそれがどんな美術品なのか想像してもらう…という方法です。
 先ほどの茶碗の例で言えば、「君がその茶碗を覗き込んだ時、あたりは真っ暗な宇宙に包まれる。そして君の目の前を、赤やオレンジや青い星が、悠然と横切って行く。…という風景を、その茶碗を覗いた時に感じた」という具合です。
 今のところ、プレイヤーを「感動させる」と言うのは難しいのですが、少なくとも「面白い」と思ってもらうことには成功しました。
 そのうち、そうやって出した美術品をプレイヤーが気に入り、「これは売らないことにしよう」と言い出しました。
 内心でガッツポーズを決めたのは言うまでもありません(笑)。
 (実際にプレイヤーを感動させる為には、私自身が美術品で感動するような経験が少なくとも必要でしょうねぇ。それが足りないうちは無理かなぁ…。なんか美術鑑賞の趣旨を取り違えている発言ですが・苦笑)


 この方法の一つの利点は、文才がなくても構想力があれば、美術品を「面白いもの」にできる点です。
 構想力は多くのGMが訓練しているものなはずで、よりTRPGには馴染みやすいかも知れません。

 またこの描写方法は、テレビのCMで使われている事にも気がついたのです。
 主に食べ物や香料のCMなどが多いですが、テレビで伝えられない事を伝えるために、「その商品を使った人がどんな気分になるのか」を描写することがあるのです。
 例えば花の匂いの消臭剤を使うと、あたりが花畑になる…という具合です。(良く見ますよね?)
 ほら、同じだと思いませんか?
 普段からそういう表現に触れているということは、皆に全く素地が無い訳でもないのです。そして簡単に実例に触れることができます。参考にできるものが多くあれば、TRPGに導入することも容易です。


 この方法、かなり広い応用が可能だと睨んでいます。
 例えば「教会の前を通りかかると、綺麗な声の合唱が…」なんて言うより。その合唱を聞いた時、どんな印象を受けたのかをイメージで語った方が、合唱がどんなものなのか良く分かるというものです。
 昔、シティフィルの補欠に採用された友人が、
 「モーツァルトはね、最初に聴いた時には、白い綺麗な扉が見えるんだよ。皆はその扉を見て、『モーツァルトってロマンチックね』って言うんだけど、本当は違うんだ。その扉を開けると、その向こうには大宇宙が広がっていて、僕らを飲み込んで行くんだ」
 なんて語っていたことが想起されます。


 逆に言うと、芸術に関った事のある人の感覚をTRPGに反映しやすくする、一つの武器になる可能性もあるのではないかと期待しています。
 私のような似非愛好家ではなく、もっと本当に芸術を愛する人にこの方法を使ってもらうと、そこにどんなセッションが待っているのでしょう?
 非常に興味があります。
 上のシティフィルの友人がTRPGに興味ないし、色々あって誘えないのが残念ですね(笑)。



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 エジプトの遺跡は多くが盗掘に遭っていますが、盗掘犯の目当ての一つが美術品です。
 確かに、エジプトの美術品には金が使われていて、材質だけでも高価なものはいっぱいあったでしょう。
 しかし、そこに芸術品としての価値を認める収集家がいたからこそ、値段が吊り上ったのです。材質だけでなく、芸術としての価値があるものも出てきたのです。
 (そうでなかったら、フランス人が何でオベリスクなんか持ち帰るものですか)
 だから私は、ダンジョンで美術品も出てくるべきだと思うのです。

 しかし、これには大きな問題がありました。
 「その宝箱にはね、白の月時代の精巧な馬の置物が入っているよ」
 「ふーーん。で、いくらなの?」

 そう。単純に芸術品を出しただけだと、それはお金を出すのと大して変わらないのです。
 多くのプレイヤーは「自分は芸術なんか理解できない」と信じている上、「美術品は高い値段がつく」という認識を持っています。いきおい、「美術品=金」という流れになってしまうのです。
 確かにエジプトの盗掘犯はそんな気分だったのかも知れません。しかし、そこにはフランス人がオベリスクを持ち帰りたいと思うような「感動」がありません。
 それでは芸術品を扱ったことにならないと思うのです。
 フランス人のようにプレイヤーにも感動してもらいたい!


 次に私が考えたのは、美術品の外見を細かく描写するという方法でした。
 しかし、これには私自身の詩的能力の欠如という大きな問題が存在しました。風景描写や人物描写が巧みでない人間が、どうやって美術品を描写しろと?
 さらに、多くの人がエジプトの美術品を見ても別に感動しないように、上手く描写できてもプレイヤーが感動しないという危険性もあります(苦笑)。
 「ふーーん。で、いくらなの?」になってしまっては面白くないのです。


 そもそも根本的な問題もありました。
 私は美術に関しては素養がありません。
 そんな人間が、「美術品をTRPGで扱うべきだ」という理屈だけで解決策を思いつける訳がないのです(苦笑)。

 そこで私は、とりあえず美術品に触れてみることから始めました。
 といっても、そこまで美術が好きだった訳でもないので、テレビで特集をやっていた時に務めて見るようにする…という程度でしたが。
 幸いにしてその頃は、(美術好きの)父親と同居していましたから、いきおい美術の番組を見る機会は多かったのですが。

 そしてある日。NHKスペシャルを見ていた時に来たのです。インスピレーションが。
 画面に映っていたのは「曜変天目茶碗」。
 真っ黒な茶碗の中に、大小さまざまな色の結晶が散らばっている茶碗です。
 初めから結晶を入れたのではなく、焼いている途中に何某かの化学反応によって、自然に結晶ができてしまった(それを曜変と言います)ものです。
 この茶碗を見た時、私は息を飲みました。
 突然目の前にまっくろな宇宙が広がり、目の前を火星や木星などの惑星が、悠然と泳いで横切っていくような、そういう風景が見えたのです。
 直後、ナレーションが言います。「…曜変があたかも星のように見え、星空のような茶碗として…」
 この感覚!?

 どことなく後に抽象画が好きになる時と様子が似ているのですが、そういう「そこにあるものから想像を膨らませる」という楽しみ方をする美術と相性が良いのかも知れません。
 もちろん、美術品には他の素晴らしさもあるに違いありません。ダビデやモナリサなどの写実的な美しさは、多分別の感覚だと思うのですが、それはまだ理解できたとは言い難い状況です。


 しかしまあとにかく、この感覚を元に美術品を扱う方法を考えてみました。
 美術品の外見を説明してそれを素晴らしいと思ってもらうのではなく、逆に美術品からPCが受けた印象を語ることで、プレイヤーにそれがどんな美術品なのか想像してもらう…という方法です。
 先ほどの茶碗の例で言えば、「君がその茶碗を覗き込んだ時、あたりは真っ暗な宇宙に包まれる。そして君の目の前を、赤やオレンジや青い星が、悠然と横切って行く。…という風景を、その茶碗を覗いた時に感じた」という具合です。
 今のところ、プレイヤーを「感動させる」と言うのは難しいのですが、少なくとも「面白い」と思ってもらうことには成功しました。
 そのうち、そうやって出した美術品をプレイヤーが気に入り、「これは売らないことにしよう」と言い出しました。
 内心でガッツポーズを決めたのは言うまでもありません(笑)。
 (実際にプレイヤーを感動させる為には、私自身が美術品で感動するような経験が少なくとも必要でしょうねぇ。それが足りないうちは無理かなぁ…。なんか美術鑑賞の趣旨を取り違えている発言ですが・苦笑)


 この方法の一つの利点は、文才がなくても構想力があれば、美術品を「面白いもの」にできる点です。
 構想力は多くのGMが訓練しているものなはずで、よりTRPGには馴染みやすいかも知れません。

 またこの描写方法は、テレビのCMで使われている事にも気がついたのです。
 主に食べ物や香料のCMなどが多いですが、テレビで伝えられない事を伝えるために、「その商品を使った人がどんな気分になるのか」を描写することがあるのです。
 例えば花の匂いの消臭剤を使うと、あたりが花畑になる…という具合です。(良く見ますよね?)
 ほら、同じだと思いませんか?
 普段からそういう表現に触れているということは、皆に全く素地が無い訳でもないのです。そして簡単に実例に触れることができます。参考にできるものが多くあれば、TRPGに導入することも容易です。


 この方法、かなり広い応用が可能だと睨んでいます。
 例えば「教会の前を通りかかると、綺麗な声の合唱が…」なんて言うより。その合唱を聞いた時、どんな印象を受けたのかをイメージで語った方が、合唱がどんなものなのか良く分かるというものです。
 昔、シティフィルの補欠に採用された友人が、
 「モーツァルトはね、最初に聴いた時には、白い綺麗な扉が見えるんだよ。皆はその扉を見て、『モーツァルトってロマンチックね』って言うんだけど、本当は違うんだ。その扉を開けると、その向こうには大宇宙が広がっていて、僕らを飲み込んで行くんだ」
 なんて語っていたことが想起されます。


 逆に言うと、芸術に関った事のある人の感覚をTRPGに反映しやすくする、一つの武器になる可能性もあるのではないかと期待しています。
 私のような似非愛好家ではなく、もっと本当に芸術を愛する人にこの方法を使ってもらうと、そこにどんなセッションが待っているのでしょう?
 非常に興味があります。
 上のシティフィルの友人がTRPGに興味ないし、色々あって誘えないのが残念ですね(笑)。


【2006/06/22 00:15】 | トークRPG実験箱
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